2013年2月20日水曜日

“露出は十分に、現像はあっさりと”


 “露出は十分に、現像はあっさりと” と 昔のフィルムカメラをとりあつかった本を見ていると よく目にする。

 もちろん『至言』と捉えていた訳ではないし、最初は 「別によく考えてみれば解る事じゃないか… ネガフィルムのラチチュードは ポジのそれよりも広く 自家現像すれば 過露光気味になっていても 現像時間で調整出来る。事実 1つのフィルムでも 様々なEIに対応した 現像時間が メーカーのデータシートには 記載されているじゃないか…日陰でなく 普通の部分のEI換算で 現像はすればいいんだ 」と思っていたし、何と云っても 自分は古建築を 詳細に撮影して形にする(プリントする)ことを ひとつの目標に据えているので、深い庇の下の組物も 写し取るように それに合わせて しっかり露光を掛けねば…と常々思っていた。

 確かに、大きな屋根の 軒下は暗く、それに合わせて 最低限の露光を掛けなければ、いくら増感現像をしても、ネガに像が 乗ってこない。 それは、色々 試してみて解った。

 でも、自分は 気が小さいのか、用心深いのか 露光には常に 自分なりの安全係数と言おうか… ちょっと余計に 露光してしまう。そうして撮影した フィルムの現像についても 薄かったらどうしよう…と不安になって つい押し気味の現像になってしまう。これではイカンと思って、最近 現像の方は しっかり時間を切り詰めて 出来るようになって来た。

 ただ、撮影(露光)に関しては、他の事に置き換えれば、根本のパラメータと言おうか、初期入力の様なことなので、この根幹の データが素抜けでは…ということで 顧みずに ズルズルとここまで来てしまった。

 ただ、ここに来て 色々なコトを聞きかじり  “露出は十分に” は何か違うぞ!と思うに至った。

 そもそも、自分には 黒白写真に対する 様々な疑問が 付き纏っているが、教えてくれる人もいないので(多分、身の廻りには 明確に応えられる人は 居ないだろうけど…) 様々な疑問が この1年で蓄積していた。

 この先、記述に時間が掛かるかもしれないが、列記してみよう。

 
● 自分は、この1年半位 フィルムを変え 現像を変え 様々な組合せで(と言ってもそんなに多くはないが…)ネガを作り、プリントを制作してきた。

 時々、びっくりする程 微粒子で 繊細な感じに仕上がった物があり、中には現像データを 記録してあるものも有るが、何が決定的な要因か 判らなかった。自分が 一番 驚いたのは、ILFORDのDELTA100のネガだった。

 TMAX400やDELTA400でも自分が思っていたより微粒子に 仕上がっている事が有ったが、感度400と100の間には 大きな隔たりが有ると思った。

 更に低感度のフィルムにも 俄然 興味が湧いて来て efkeのR25やRolleiのATP1.1にも 手を出した。

 勿論 それ等は 更に粒子が細かくて トーンも繊細だが、自分には 量販店でも購入できる 感度100で達成された そのDELTA100の繊細さの方が 意味が有り、価値があるように思えた。(此処で云う 粒子の細かさや繊細さは 生意気を云う様だけど、自分で引き伸ばす事を前提に言っています。僕の云うレベルは 恐らく 民生用のスキャナーでフィルムを スキャンしていたり、老眼だったり、自分でプリント出来ていない人には 判らないと思います。)






これが そのプリントの一部
 


 


iPhoneの写真では、この木立の樹皮や葉の繊細さは 伝わらないだろうな…



 


 実を云うと このプリント、大四切を 作る為の テストピースだったりします…。
 
 本番プリントも 何処かに有るのだけれど、探さないと分からない。
 
 iPhoneの写真では 黒く潰れているけど、実際の写真は 暗部の組物にも しっかり諧調が有ります。


 
 

ちょっと 黄色くなってしまったが、こちらの方が 雰囲気伝わるかな…
 


● 今年になって 使っていないが、去年 BROOKS VERIWIDE 100という ブローニーフィルムを詰めて 6×9(6×10?)のサイズで7コマ?(なぜか 7コマ! 何とか8コマ撮ろうと頑張ってみたが、駄目だった)撮影出来るカメラを使っていて 何本か 写真を撮った。

 まだ、4×5のカメラに 回帰する前のことで、基本 Mamiya7などの アオリのきかないカメラで 写真を撮っていたので、水平方向に長い建物や 塔などの垂直方向に長い建物を 撮るために 手に入れたものだった。

 レンズは 47mm f8のスーパーアンギュロンが付いていて、焦点距離は目測。カメラの名前にもある様に 画角は100°をカバーしているらしい。

 後々 このカメラで撮った写真を引き伸ばしていったのだが、いつも通り 庇の下の組物に合わせて 露光を掛けるものだから、晴天だろうが 曇天だろうが ネガの空の部分は 真っ黒! プリント時に かなり他の部分より 焼き込んで やっと濃淡が出て来たが、ビックリしたのは、粒状が 大きく 尚且つ 何か ダマっぽくて ボロボロな事。

 よく普通の人は 勘違いするけど、黒白写真は 元はネガなので、ポジ像であるプリントで 黒い粒々と言っても、元のネガでは、銀の粒子で 塞ぎきれなかった 素抜けの部分ということ。まぁ、どちらにしても 粒状が悪いであろうことには 変わりはない。

 更に その当時 不思議に思ったのは、庇の下の組物部分や 屋根、床の部分など ある程度の部分は、いつも通りの粒状で シッカリ粒が立っている事。そう、一枚のプリントの中で、そもそも 濃度が違うが、粒状感も全然違う部分が、混在している事だった。

 でも、これは 1コマや2コマのはなしでは無く、VERIWIDE 100で 露光オーバーに 撮られた空は、みんな ダマっぽくなっているのだった。





 

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