僕がプリントの時に黒縁を出すわけ(その1)
僕がプリントの時に 黒縁を出すようになったのは 東日本大震災の前の年の晩秋に
生まれてはじめてライカを手にして 最初はカラーで撮って(ネガ、ポジ問わず) 街のDPに
出していたのだけれど現像代やらプリント代やらで あまりにもお金が掛かるので
(当時 フィルムは今程は高く無かった)必然とモノクロフィルムに手を出すようになり
それならばいっそ自家現像でやってみようという事になり自分の家で暗室作業をしようと
思い立った事に端を発する。
自分は 写真部に在籍していた事も無いし もちろん何かそういったモノクロ写真のワークショップに
参加してひととおりの事を習った…と云う様な事も無いのだが 一応ひと通りの手順は知っていたし
暗幕の張られた 所謂しっかりとした暗室が無くとも 開口部を締め切ってそれでも光が漏れてくる様
なら後は夜になるのを待ってから やればいい事を過去の経験から知っていた。
ライカを購入するとやっぱりレンズについて色々知りたくなるし そうなると1990年代後半から2000年代初頭のやれライカだ、レンジファインダーだと世の中が騒いでいた頃のライカ関係について書かれた雑誌を読み漁るぢゃないですか…
そうして 御多分に洩れず 自分もfocomatの存在を知りました。写真工業のフォコマート特集号(2000年9月号)や 中川一夫さんの『ライカ物語』をみて 自分も持たなあかんなぁ…と。
そうしてfocomat Ⅰcを手に入れたのが 2011年の震災のあった年の事…。もちろんその頃には focomat Ⅱcの存在も既に知っていましたが、まだ畏れ多くて 自分なぞは未だ手に入れる段階には至っていない…という感じでした。
僕にとっての初めてのfocomat ヤフオクで手に入れました。1950年台前半のものでしょうか アンチニュートンフィルターが付いてくる前の時代のものでしょうか 引伸しレンズはエルマーです。純正かどうかは判りませんが コンデンサーレンズとネガの間には アンチニュートンスペーサーが嵌っています。 同じ時代の 純正のイーゼルも付いてきました。 |
当然 手に入れて直ぐに使い始めて すっかり夢中になってしまいました。使っていて気分が良く 結果もいいので 毎晩のように暗室作業に勤しみました。
過去に学校の暗室に入り浸っていた時期が 幾度かあったのですが それ以来の事でした。
最後に大学の暗室を使わせて貰っていた頃の引伸し機は Fujiの6×9(4×5?)まで引き伸ばせるタイプの多分その当時では最新の機種でした。
そのFujiの引伸ばし機も それまでの自分は触れたこともない高級機という感じでしたので、その当時の自分にしてみれば使っていて気持ちの良いものでしたが、自分の生まれるよりかなり前の あの真っ黒い物体に まさか自分も虜になってしまうとは その時は思いもよりませんでした。
自分の所有物の中で かつてこんなテイストのモノがあったでしょうか? この佇まいと黒い縮緬塗装は 何故か黒縁の襖にもマッチしているかの様です。 その傍ら 全く使われなくなった平行定規 大きいので 置き場所に困っています。 今となっては無用の長物 この半分のサイズにすれば良かったです。 |
こちらは自分にとって2台目のfocomat Ⅰc このネガキャリア 純正品じゃないんでしょうか? 塗装はチョロ剥げしているし 軽くてアルミ製みたい コンデンサーレンズの付いた先端部分に アンチニュートン処理された ガラスの嵌ったフィルター枠を嵌め込みます このアンチニュートン処理されたガラスとマスクの切られた ネガキャリアでネガを挟んで 焼き付けます。 |
focomat Ⅰcの黒縁 キッチリした縁取りではなく 独特な感じです。 指紋の様に ネガキャリアごとに微妙に違う様です この写真は スマロン35mm f2.8で撮った写真 |
このネガキャリア由来の黒縁は 撮影したカメラのネガ上のイメージサイズに依るので
こちらは M3に90mmズミクロンの1stバージョンの組み合わせで 撮影したネガから引伸ししたもの フィルム上のイメージサイズの 違いからか 黒縁が太いです |
ここまで書いてきましたが、黒縁を出す様になった経緯については説明できましましたが