2024.11.23. つれづれ
秋の夜長に…
自分は いつもは夜早く就寝して たとえ休日であっても夜明け前のほんの1〜2時間程しか暗室作業はしないのですが… この日は思う処があって 前日23時頃より作業をスタート。
この部屋 自分の部屋では有りません。でも こうでもしなければ 引伸し機を置くスペースが もう我が家には有りません…。ハッキリ云って この部屋の主である家人からすれば 迷惑な話なのですが…(もちろん この部屋の主も寝食をする部屋は別に持っています。)
前々回の投稿(2024.09.23)に関わってくるのですが、ほぼ毎週末ごとに Durst L1200で FBの11×14にプリントしているのですが、粒子が鋭いです。粒が立っている…と云いましょうか…(実際はネガポジ反転なので粒じゃないんですが…)特にRodinalで現像したネガは凄いです。
元々 8×10でプルーフプリントをつくって そのまま同じfocomatⅡcやベセラーで11×14に焼いて来た時も引伸し倍率が上がる事によって感ずる 撮影時のピントずれや 微細なブレ 粒状等のアラは出てきていたのですが、粒状に関しては ここまででは無かった様な… チョッと違和感を感じ始めていたのです。
そして 以前自作のLED散光ユニットでプリントしたことのあるコマを Durst L1200でも焼いてみて 出来上がったプリントを並べて比べてみて 確信しました。
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↑ この秋 新たに Durst L1200でプリントしたもの 定着液から引き揚げてすぐにiPhoneで撮っています。
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↑ おそらくは一昨年に ベセラー45MX+自作LED散光ユニットでプリントしたもの 何度か見返してはその辺に放置していたので 埃が付いています。あるとき定着液を こぼしてしまい その際飛び散ったものが付着して 一部変色 像が消えかかっている箇所が有ります。
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元々 10年程前に オンボロローライで ILFORD FP4+で撮ったネガです KODAK Xtolで現像しています。
上から それぞれDurst L1200、ベセラー45MX+自作LED散光源ユニットでプリントしているのですが、このBlogに掲載した写真では 良く判らないと思いますが、肩から掛かっているカバンのベルトが 凄まじくシャープに写っています。
本来の鑑賞距離では 両者の粒状感の違いを感ずる事は有りません。でも自分のド近眼の眼で仔細を見ると僅かにDurst L1200でプリントしたものの方が鋭く感じます。
でも ここで明らかな違いとなってあらわれているのは ベルトの掛かっている方と反対側の肩から下の襟の先っぽの脇辺り Durst L1200でプリントしたものの方に白くなっている部分が有るのが判るとおもいます。
その白い斑 実はフィルムの最終水洗後に浸した Agガードの水滴をスポンジで拭った際に残ったモノが析出して出来たものなのです。
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当該フィルムの時ではありませんが、フィルム最終水洗後にAgガードに浸し スポンジで表面を拭ったところ。写っているのは 乳剤面では無い方です。 膨潤している乳剤面では 拭った直後にこの様になっていても すぐ馴染んでしまいますが 反対側は フィルムによって弾き具合に差が出ますが だいたいこんな感じです。
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本来、フィルムを乾燥させたあとに 丁寧にクリーニングするべきなのですが、自分は 横着者なので そのままにしていたのです。(かといって 適当に擦る様に拭いても 細かい傷になってしまいますし…)これは focomatで焼いた場合には ネガ濃度やコントラスト、またはプリントした時のその部分の濃度にもよるのですが、それほど気にならない事が多いです。
続いて 次の写真。
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ネガキャリアや それに挟まれたネガに付着している塵が 顕著に出ています。
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この秋に撮影 Durst L1200で引伸ばしたものです。シャープにプリント出来ていると思いますが 塵や埃が写り込んでいて凄いです。ネガキャリアは ガラスで挟み込むタイプですので、全てを取り除こうとすると 結構厄介です。正直 エアガンが使える程度の小型のコンプレッサーが欲しいくらいです。
ILFORDのDELTA100にSUPRのHRXで現像していますが、ピントが完全に外れている背景は若干ザラザラした感じです。事前にプルーフプリントとしてfocomatⅡcで8×10のサイズに伸ばした物では粒状を意識する事は有りませんでした。引伸ばし倍率を上げていくと プリント濃度が低めの こういう部分に最初に 粒状感を感ずる様になります。
どちらにしても Durst L1200でプリントすると手持ちのfocomatⅡcやベセラーで焼いた時より 粒状は鋭く塵などの付着物も顕著に出るようです。これは 引伸し機の構造に由来する その機種が本来持つ固有の調子もあるでしょうし、 実をいうと そもそも それぞれに装着されている引伸しレンズもバラバラ(メーカーも年代も…)なので その部分に負うところも有ろうかと思います。
そもそも、自分は focomatから自家現像に入り、ZONE Ⅵ、ベセラー45MXと使ってきましたので、集散光式よりも散光式のほうが 粒状や埃が デフューズされた光によって 目立たなくなるのを経験して来ました。
そこで 今夜は満を持してこのDurst L1200での次のステップに進むことを決めた…というのが今回の経緯です。
eBayで手に入れて以来 10年?近く廊下に放置していた CMS501の梱包をついに開封します。
モノグサ太郎の自分にとっては 一大イベント。まずは 送られてきた梱包状態から 記録しておかねば… ちなみに座卓の下に 別の白い段ボールが有るかと思いますが、中に入っているのは CMS501の電源ユニットです。もう忘れてしまいましたが、これすら その当時 別に落札して単品買いしたのでしょうか? でも、ずっと使用していなかったとはいえ、現在の円安、輸送などの様々なコスト高を考えると この時点で 勢いで無理して揃えたのは 今にしてみれば良かったのだと思います。
廊下に放置していたので、届いた当初は 家人に事あるごとに 文句を言われていましたが、長い歳月は人を変えます。 「今夜 この荷物 ようやく片付くよ…」と云うと、「ありがとう 助かるよ…これで通りやすくなる…」と感謝とも取れる言葉をいただく始末…。
まぁ、僕のずうずうしさは 子供の頃からちっとも変わっていませんが…。
CMS501が姿を見せました。結構しっかり緩衝材を入れてくれて有りました。これなら大丈夫そうです。
まずは CLS501の点灯チェックです。ちなみに 上(下)に載っている拡散ボックスも 別入手したモノです。
当時 完品でお手頃な出物が無かったので 取り敢えず本体を入手して 必要なモノを買い足していったのですが、筐体の色に拘ったりして 結局 かなりのお金が掛かってしまいました。

今まで付けていた 集散光ユニットとネガキャリアを外します。 炬燵の上に置いてある方が 集散光ユニット部分。その下のネガキャリアの右に有るのが コンデンサーレンズのはいったBOXです。
10年近く前に使い始めた時、コンデンサーレンズを一度綺麗に清掃しましたが、今回みてみると 埃が付着しており ところどころ軽微ではありますが、カビも生えていました。
CMS501を載せて ついに点灯! 上からこんなに光が漏れるのかョ!と思っていたら 勘違い。ハロゲンランプのセットされた状況を確認する際に開けた上蓋を キッチリ閉じていませんでした。ランプ付近は凄い熱で点灯中は放熱ファンが廻りっぱなしで少々うるさいです。
今まで静寂に包まれた暗室でしたが、これからはこのファンの音に慣れねばなりません。今の処、自分には音楽や他人と共有する暗室など到底考えられません。息抜きに 暗闇でチェンバロ作品や ジェットストリームなら聴いてみてもいいですが…
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自分の使用する印画紙固有の値を記しておく為か 左側に多階調印画紙の号数ごとの値を メモしたカードを挿しておくためのスペースがあります。
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印画紙の取説に従って YellowとMagentaの値をセットします。Durstは max 170Mのものと130Mのものと2種類あるようです。自分のCLS501はMAX 130Mでした。上の写真のセット値は間違えていますが、今回 自分はfocomatⅡcで多階調フィルター無しの2号ストレートでは上手く焼けなかったネガをセットしたため、3号からスタートしようと思っていたところを 過去の経験から散光式は集散光式に比べ 同じ号数にセットしても軟調傾向にある気がして 思い切って4号からスタートしました。
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ピークルーペで ピント合わせの為 ネガの粒状を見ようと思ったのですが、全く判りません。 この画像は 反時計廻りに90°傾いていますが、下の出来上がりの人物の左側の襟元から肩にかけての辺りを覗いて見たものです。
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ピントの確認の為 ピークルーペを覗いても 粒状を確認出来ません。こうなるとコントラストというか 像が一番鮮明に見える位置にするのに 行き過ぎたり戻ったりを繰り返してみないと判りません。ビューカメラの摺りガラスを観てピントを合わせるのに 似ていますが そもそもの投影像が非常に眠いので大変難儀します。自分は普段使っていないのでうろ憶えですが、確かに多階調フィルターの中にこんな色が有った気がします。最終的にピントに関してはよく判らず見切り発車だったのですが、それでも まぁ何とかプリントしました。
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iPhoneで撮ると実際の結果より パッと見のイメージを解り易くなる様に 補正するので、実際の写真にかなり近いですが 少々コントラストが増しています。
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この写真は focomatⅡcでノーフィルターの2号ストレートでは上手く焼けませんでしたが、CLS501で4号にセットして焼いても今一つといったところ。この写真では写っていませんが 右隣に同時に焼いたベタは 4号相当の光で丁度いい具合に焼けていました。
ILFORD DELTA100で撮影 SUPR HRXで現像していますが、粒状に関しては シャツの明るい部分、白い車体、青空など ネガでは濃い部分を くまなく見ても全く感じる事は有りませんでした。(もっともこのカット まだ8×10にしか 引伸ばした事ないので focomatⅡcでは 11×14にしたらどんな具合か判らないですが…) ネガキャリア廻りの塵もそれと明確に判るようなものは出ていません。そういったノイズとして感じるモノが無く 強い光の降り注ぐ中で撮ったわけでは無いので スムースな感じ。でも 心にグッと来るものが無く 何か足りない。あの時 自分の捕まえたかった光の輝きは こんなもんじゃないよねぇ…(少なくとも 人物の肩の辺りまでに掛かっている光は もう少し感じとれる様にしたい…)
これなら いきなり5号で焼いた方が良かったですかね…。でも5号ってもうソコが限界点ですから…その点はチョッと拍子抜けしてしまいました。これは また改めて検証してみたいのですが、このカットぢゃないですが ベセラーに載せた自作LED散光源ユニットのパープルのLEDで焼いた時は 同じ散光源でも軟らかいながらも 何処か芯の有るガツンとした感じの画を叩き出した気がしたのですが…
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実を云うと GW辺りから使い始めた 50枚入りの11×14のバライタ紙がこの時点で残り1枚となってしまったので 同じネガを5号で焼くのは ひとまずお預けにしておいて、次は逆に ネガの濃度とコントラストがキツくて その昔 focomatでは 覆い焼きや焼き込みを駆使しても上手く焼けなかったいネガを 今度はグレードを落として焼いてみました。メモを取るのを忘れてしまいましたが、2号か3号にセットしました。(2号だったと思うが、散光式の方が軟調傾向に有るため 3号にセットしたかも知れない)
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何月かは忘れてしまいましたが、11~12年程前 夏の強烈な日差しの中で撮影しています。 この年か 前年位に屋根を葺き替えを済ませており 非常に綺麗でした。
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全く自分にとって満足いく結果ではありませんが、ほぼストレートに焼いても一応 一枚の写真として 見られるプリントになった事は 評価出来ました。でもまだ全然 改良の余地有りです。そしてここでも自分は 敢えてこんな光線状況下で撮ったのですから ハイライトの輝きを求めているのですが、そういった事が感じられない…という意味でも 非常に不満の残るプリントです。
このカット、focomatⅡcで 多階調フィルター無しの2号ストレートでは 覆い焼きや焼き込みを駆使しても 上手く焼けません。その当時のプリントが手許に残っていないのでお見せ出来ませんが、 何とか焼くだけは焼いて画にしても 焼き込んだ処は硬く、逆に覆い焼きをした処は軟らかく、2号、3号という括り(ニュアンス)や 単にコントラストの差とも違って、何というのかな…濃度としては 一つの連続した画に纏まっていても 硬いところ軟らかい処が ちぐはぐに混在して 違和感のあるプリントにしか仕上げられなかったのです。
最終的には 仕方が無いので 多階調フィルターを持ち出して 元々覆い焼きをして露光の少なかった処は さらに元々のベース露光より時間を減らして残りの分を 4号位のフィルターで焼き込んだり、元々がベース露光と同じ時間以上 追加で焼き込みをような処は 焼き込み時間に応じて 1号→0号とフィルターのグレードを徐々に落として 焼き込んでいったり… まぁ、それでもダメでしたね…。
当時の自分は 独りで坦々とやっていた事もあって(まぁ、現在もですが…)、思い込みも激しく 『 取敢えずネガが濃くなろうが 情報のあるモノは後のプリントで何とか出来る!今すぐ出来なくても 後で機材を色々揃えて やがて対応できる!』だとか『 そもそも シャドーにロクに情報の無いネガを得て 後から悔やむより ともかくシャドー重視で露光をたっぷり与えて撮るのだ!』と息巻いておりました。
結果は 散々なものでした。当時は 120では人を撮ったりはしていなかったので 135で撮ったものを focomatⅠcで伸ばす時以外は ほぼずっと建築を撮った写真のプリントと向き合って来ました。その頃は フィルムも安かったし 1巻で10コマ程度しか撮れないし 撮影時にはいつも幾分気分がハイになっているので この勘違い野郎は多い日には10巻以上撮るぢゃないですか… 夏休みともなると 毎週出掛けて そこから現像地獄…そして出来上がった大量のネガからは上手くプリント出来ない… そんなこんなで 10年近く写真から遠ざかっていたのです。
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上のプリントのネガ 基壇の石積みの部分のネガ濃度が高いです。
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このネガ 夏の晴天にMamiya7の43mmで撮っています。フィルムは今は無き efkeのR25。当時 このフィルムが感度が低い代わりに物凄く解像度が高い事を知って興味本位で買ったのですが、その当時の購入先でも特に専用現像液みたいなモノのアナウンスは無く Rodinalによる現像が推奨(?)されていたので、Rodinalで現像しています。シャドーを意識してかなりオーバー露光をしたつもりですが、このネガを見ると その割には 御堂の左の方は あまり写っていません。逆に 直射日光の当たっている方は かなり濃くなってしまいました。
当時は この様な条件でも 果敢に挑んでいたのですね…。
取敢えず これでFB紙50枚使い切ってしまいましたので プリント作業は 今日の処はここまでです。
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おまけ
試しに 7年位前に買った 期限切れのFB紙を持ち出して Agガードが思いっきり析出しているネガを焼いてみましたが…
ネガは ある程度コントラストが有るのですが、期限切れの紙では 5号にセットしても 正常なコントラストには焼けず 黒つぶれ…
でも フィルム上のAgガードの痕跡など 取敢えずパッと見では何も出ていませんでしたよ…
ちなみに、8×10のRC紙に focomatⅡcで焼いたものにも全く出ておりませんでした。
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