2013年5月28日火曜日

散光式と集散光式



 LEDの光源ユニットを自作し、何とか普通にプリント出来るまでには 漕ぎ着けた ZONE Ⅵ引伸機。

 自分にとって初めて4×5のネガを引き伸ばせる引伸機として購入したのだけれど、また それは自分にとって最初の 散光式の引伸機となった。

 自分で実際に現物を手にし、使い易い様に工作して 日々使って来た事により 散光式と集散光式の違いが 朧気ながら解ってきた。

 でも もしかすると、まだよく解っていなくて 頓珍漢な書込みをするかもしれないし、時期尚早なのかも知れないけれど、現時点で 感じた事を 少し書いておこうと思う。


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 僕が初めて 散光式の引伸機を使ったのは、昨年 レンタル暗室においてだった。

 ILFORDブランドの 自分で多階調フィルターを 抜き差しせずとも 手元の 操作盤のパネルキーを操作すれば 7セグメント表示の赤い数字が変化して 自由にグレードを変えられる…という物。

 今 思い返しても不思議なのだが、あの散光式の光源ユニットの収まったBOXの中は 一体どういう仕組みに なっていたんだろう?

 その時は、引き伸ばしたのも1カットだけで 小さいサイズだったので、正直云って いつも使っているfocomatとの大きな違いを見いだせなかった。









 僕の買い求めていた ZONE Ⅵ 引伸機は 最初から 光源ユニットが壊れていたので 4×5のシートフィルムは自家現像もこなす様になって あとは引き伸ばすだけ… という段階まできていたのに、どうしたら良いかと 日々 悩んでいた。

 ある日 とある方のサイトで 引伸機の光源が LEDで自作出来る事を知り(そのまま 参考にさせて頂いたので 本当は お礼を言わなければならぬ位なのだが…)、突然 道が開けた。「コレだ…」

 僕は 潰れたZONE Ⅵ引伸機の光源ユニットをバラして 中を見ていたので、そのカラクリを知っていたが、その方のLED光源ユニットは、まるで其の仕組みを知っていて ただLEDに置き換えただけの様なものだったので、凄い人がいるもんだなぁ…とも思ったし、自分も 同じ様なモノを製作すれば、ZONE Ⅵ 引伸機を 起動出来る…と狂喜した。

 そこで、まず ZONE Ⅵ引伸機の光源ユニットの陰極管と同じ様に グリーンとブルーの2系統のラインを持つ LED光源ユニットを自作したが、 通常のネガでは 柔らかく淡い(グレードの低い) プリントしか出来ず、コレは失敗だった。

 コレには おそらく2つの理由が有って、まず ひとつ目は 光源の光を生み出す部分の仕組みの違いに依る問題。

 ブルーとグリーンの色の 陰極管を 同じ色のLEDに置き換えただけでは ダメという事。

 陰極管は元々のその光を生み出す仕組みからして 紫外線に 頼っているので、実際 ブルーやグリーンに見える光の中にも それより波長の短い光や紫外線などの成分が含まれていると思われ、その分 その帯域の光に 反応して (その帯域の光に反応するのは、元々多階調紙に 硬調に焼かれるように調整されて塗布されている乳剤なので)硬調な部分まで極端なスプリットではなく 適度なの階調の連続性を持って 過不足ない階調のプリントが出来る。

 それに対して、ブルーとグリーンのLED光源の方は 完全に 紫外線やそれに近い帯域の光を含んでいないので(だから或る意味LEDの方が 目的(とする帯域)がハッキリしていてそれに合った 色(帯域)を 選択しているなら それは効率の良い光と言える。) その分 硬調に焼かれる為の光の要素が何も含まれていない事になり、本来 陰極管やその他の光源(?)では補完される硬調な部分が 抜けてしまっている事になり 常に 全体的に眠い印画が出来る事になる。

 もうひとつの軟調にプリントされる理由というのは、その宿命といおうか、そもそも散光式という方式自体が 同じネガからでも 集散光式などに比べて 軟調にプリントされるという事。

 写真工業の昔の記事(ここで参考にしているのは、1991年2月号)などを見て確認したが、同じネガからでも 集散光式より散光式の方が 2号相当近く軟調にプリントされるというのは ごく普通にある事らしい。

 そもそも散光式は 軟調にプリントされるという事を 僕はある 実際の暗室作業においての問題を通して 体感しているので、ここで紹介したい。


 僕は ZONE Ⅵ引伸機を 使い始めた当初、印画の一部分に 毎回 明らかに認められる カブリが有るのに悩んでいた。

 それでも、仕方なしに アレやらコレやら 対策を施してみたが… 有るとき思い掛けず、自分が想像していなかったある結論に達した。







 上の写真は、去年の暮れ 45FAで撮影時に 広角レンズで無理にアオり 蛇腹でケラれて 画面の隅の部分が全然露光出来ていない(写っていない)ネガを ZONE Ⅵ引伸機でプリントしたもの。

 蛇腹でケラれて 何も写っていない(素抜け)の部分は 当然プリントでは真っ黒くなるが、その周囲(ここでは正常な印画との 境界部分)が やけにカブっている。

これは あることを示唆していて、散光式という引伸機に 馴染んでいなかった自分に それがどういうものか 考えるきっかけを与えてくれたのだった。







 僕のZONE Ⅵ引伸機。当初はこれらのカブりは 総てあの独特なネガキャリアと その上に 置くようになっている冷光源ユニットの隙間から漏れる光によってもたらされる産物と 思っていた。

 だから、そういう事の起こらぬ様に 変にはみ出さぬ様 (ボール紙で!)自分でネガキャリアを作った。(これとは 全然違うが、別な材質で focomat Ⅱcのネガマスクを自作したことも有る。)

 自作の光源ユニットも 先端に大きなツバをつけて完全に ネガステージ部分をカバーする様にし、全暗黒にして注視すると ほんの僅かながら光りの漏れが有るのだが、普通の露光時間で焼くプリントのカブる要因としては 殆ど考えなくて良いレベルになった。

 にも関わらず、出来てくる印画は 相変わらず カブり続けた。そして 例の上のプリント…。それで僕はやっと理解した。

 「このカブりを生み出す光も レンズが連れてくるのだ!」

 そこかしこで カブりを生み出す光は もともと コンデンサーが無いため 全く整えられず 散乱してネガのそこかしこに行き渡り ネガの濃度に応じて さらに銀の粒子に散乱させられる。

 光は またそこかしこからレンズに集約され(もちろん 引伸機のレンズを繰り出す部分の 黒い蛇腹に入った光 総てが利用される訳では無い) レンズによって 投影され それによって 印画紙の そこかしこに 降りそそぐのだ!

 そう考えれば 辻褄が合うし、その他の 巷で云われている 散光式の特徴というのも 上手く説明が付く。

 よく散光式は 少々ネガに 傷や埃が有っても プリントした時に 目立ちにくいといわれる。 これは 本当だ。でもそれは 本来 コンデンサーで整えられた光ではネガに遮られて 露光されず 印画紙上では 白抜けになってしまう部分にも 廻り込んで光がやってきて 上手く補完されているとは 言えないだろうか?

 一般に 集散光式のプリントよりも 散光式のプリントの方が 調子が柔らかいという事も よく言われる話だ。

 でも、逆にバライタの本当の白の輝きを得たい様な場合にも、その部分に それらの 散乱した光の焼き込みが行われて ハイライトの輝きやレンジは 幾分損ねられてしまうのだろう。

 そう考えると、この散光式のZONE Ⅵ引伸機を使いこなせていない 自分が云うのも何だが、今の自分には贅沢な望みかも知れないが、4×5が 引き伸ばせる コンデンサーを持つ 引伸機も 1台手に入れたいと思うようになったのだった。









2013年5月23日木曜日

2013.05.23. プリント


 リレーを噛ませて、LED光源パネルの応答のタイムラグの問題が無事解消して 小刻みな時間であっても 正確に同じステップで焼けるようになったので、引き続き テストプリントを行った。







 まず、ベース露光からして2.5秒では いかんせん短すぎるので 10秒位になるように LED光源の明るさを調整。取り敢えず 今日は ブルーとパープルの値は 共に3.15にセットした。

 チョット 硬め…でもやっと 自分の テストピースらしくなって来た。









 これは、今回のカットのものではないが、自分は取り敢えず テストピースから 自前の露光時間のガイドの様な物を ペンでスケッチして描いている。

 印画内の 露光時間のタイムテーブルが 小刻み過ぎて とても頭に叩き込んでおける様な単純な物ではないので、こうやって事細かに記載して 整理しておくのだ。

 このとき スケッチはペンやボールペンで描く事に決めている。

 ひとつの理由は いずれ暗いセーフライトの中で こいつと睨めっこして 露光を掛けていくので コントラストの高い描画になっている方が 見易い事。

 もう一つの理由は、これから自分は 一度 取り組んだらやり直しのきかない事をやるので 或る意味 気合いを入れる為に あえてやり直しのきかない事をして 自分の気持ちを高める意味がある。(端っから やり直しのきく鉛筆なんか握って そんな弱気でどうする?…という事)

 もっとも自分も MorphosisのThom Mayneのように 鉛筆で美しいラフスケッチが描ければ そちらを選んでいるだろうけど…








 でも、ただ写しとるのではない。その時考えた事、感じたこと、そしてそれをプリントに反映させるように 時には時間を掛けて 描くんです。

 そうすると、気持ちが高まりつつも 少しリラックスしている自分が居る。集中しつつも、一歩引いて冷静に考え これからプリントに取り組もうとする 少し大人な気分の自分が居る。







 勿論、人間ですから その時その時で 気分や考えも変わり、スケッチの調子も変わるんです。

 でも、そういうのが積み重なり ストックされていって 後で見返すのも 面白い物ですよ。







 テストピース後に 最初に焼いた1枚目。テストピースで焼いていない部分については、露光時間は推測するしかないので、真っ黒になったり 濃度が浅くなっている。

 どうも 貧乏性で仕方がないが、本来はテストプリントは 画面全体で行う物なのだろう。

 結局 失敗プリントの枚数を 重ねるのなら 同じ事だ…。それは解っているのだが…

 





 1枚目の結果を踏まえての 2枚目。何とか 見られるプリントに…σ(^_^;)。でも、まだ大いに不満のある箇所が…。









 隅木の先端部分と その周りの木々の濃度が 明らかに 浅い。


 






2013年5月22日水曜日

2013.05.22. フィルム現像


 久しぶり(10日ぶり位)にフィルム現像をした。







 このフィルムは、去年のお盆頃に撮影したもの。

 もう少し 放って置いたら 1周年を迎えてしまうところだった…σ(^_^;)。

 よく写真の本に 潜像退行について 書かれているが どうなんでしょうね?

 実感したコト無いので…よく解らない。フィルムは 生ものとも よく言われるし…

 でも、自分はそれ以外の部分で(例えばフィルム現像のやり方であったり)もっと影響の出る 良くないコトをしている様な気がする。

 はじめての D-76やHC-110も 水に溶解して 使用液にしてから 大分経っているので、もう少ししたらフィルム現像も 本格的に再開しなければと思っている。

 今朝 少し驚いたのが 浄水器を通して出て来た 水道水の水温。もう既に22℃だった。

室温に馴染んでいた D-76に至っては、25℃にもなっていたが 時間に余裕が無かったので いささか強引ではあるが、そのまま現像σ(^_^;)。

25℃でスタート。流水でタンクを 冷やしながら現像したので 5分後の排出時の温度は 23.5℃であった。

季節は移り替わり もう現像に 氷や冷水を用意しなければならないシーズンになっていたのですね…。








 暫くぶりの現像だったというのに、定着液は 新液でなく 何週間か放置していた 使い古しのRAPID FIXERを使用。
 
 それが原因かどうか判らないが、その後のタンク内水洗の排出水の色は、いつもならもう少しピンク色がかっているのだけれど、今回は いつもより青っぽい色をしていた。
 
 その後も排出した予備水洗水が ピンク色がかる事は無く、今度はkodafixにて 3分チョット定着。
 
 この時点で 若干ピンクステインが 抜けていたかどうか判らないが、最後 本水洗を済ませて 吊るし干しした時は、ピンク色は殆ど判らない位になっていた(もっとも、ベースフォグがいつもより少し濃いめでよく判らないのかも知れないが…)
 
 上の方の写真(冒頭の写真)は、若干ピンク色に写っているように感ずるが、iPhoneのカメラの写りの問題で、実際はここまでピンク色がかってはいないのである。




2013年5月20日月曜日

2013.05.20. つれづれ


 玄関に もう半年も放置されている もう一台のfocomat Ⅰc

 家の人からは、家に来た お客さんに その度「何ですか?コレ?」って訊かれるので、早く何とかして欲しいと言われている…σ(^_^;)。






 今は、ZONE Ⅵ 引伸機を再生して 4×5のネガを しっかりプリント出来る環境を整える(プリントのテクニック的にも…)事に 躍起になっているので、そこまで 気が廻らないのだが、はるばる海外から来ていただいて まだ座敷にも 揚げて貰えないというのも 確かに失礼な気がする…σ(^_^;)。






 自分が以前 最初に求めた focomat Ⅰcは、1951年位のもので、まだ ねじ込み式の アンチニュートンフィルターでネガを押さえる方式になる以前のもので、被せ式の アンチニュートンスペーサー(リング)仕様の物。

 それに対して今回 記事にしているのは いつの物か正確な年代がわからないが、まん丸ヘッドに赤バッジや白いハンドルの付いた アンチニュートンフィルター仕様の 少し時代の下った物。

 Leitzも罪作りだなぁ…と思うのは、 focomatやイーゼルも 各時代でマイナーチェンジを繰り返し、様々なモデルが有ること。

 自分も既に focomat を持っているのに、ヘッドにフィルターポケットの付いた物やら、120cmの支柱のタイプや、グレーのハンマートーンの塗装のタイプに憧れるもんね。(この3点を 満たしていて 安くネットオークションに出ていたら、手を出してしまうかも…)。

あとfotochatonさんのBlogを見たりしているので 正直、varoyも 欲しいっす。(欲張り過ぎ…)





2013年5月19日日曜日

2013.05.19. プリント


 今朝も 引き続き 新たに作った LED光源ユニットで テストプリント。







 ここの処 殆んど まとまった形でプリント作業をしていなかったので、テストプリントと銘打って 言い逃れして来たが、出来上がるプリント総てが 失敗プリント。

 どうも 覆い焼きのテクニックが 長いブランクがあり かなり落ちている。

 もっとも 難しくて当たり前なのだ…。と云うのも 今度 作り直したLED光源ユニットは 以前に比べて かなり明るいのだ。

 だから、少し 明るさをセーブしても ベース露光の時間は 僅か2.5秒!そこから覆い焼きを施していくのだが(1秒ずつ 何セットか とか…)、チョットの手違いが 焼き過ぎとなり、命取りになるのだ。

 かと云って 弱気になると、思い切りがつかず 露光不足となってしまう。

 とにかく、露光不足から過露光に至るまでの タイムスパンが短過ぎるのだ。

ここの処 殆んど まとまった形でプリント作業をしていなかったので、テストプリントと銘打って 言い逃れして来たが、出来上がるプリント総てが 失敗プリント。

 考えてみると、自分が 今回使っている ブルーやパープルのLEDは、特定の帯域の波長の光しか放たないので、白色の電球や 蛍光管に比べれば、確かに印画紙を露光する効率は良いかも知れない。

 ただ、であるとすると気になるのは、白色の電球や蛍光管のように 強弱の波はあっても連続したスペクトルの光と違って 飛び飛びになっていると思うので、以前少し触れた事が有るが、スプリットグレードで無理矢理焼いた 気持ち悪いトーンの繋がりを持つ 変な写真になってしまわなければよいが…という不安はある。

 この辺はいずれ 余裕が出来たら 白色LED光源ユニットを製作して それとマルチグレードフィルターを併用して プリントしたものと比較をしてみたいと思っている。

 







 これでも まだ少し硬いと思うけど、前に比べれば だいぶ良いバランスになって来たと思う。

 もっとも このケチる性格が本当にイケないのだが、以前 溶解した 本来 1:9の希釈で使うべきPolymaxを1:4の希釈で溶解したものを使用し続けているので、その辺の影響も若干有ると思われる。

 次のプリントからは 通常の1:9希釈の新液に切り替えねば…とここ最近 常々思ってはいるのだが…σ(^_^;)。









 本当に 日本建築を撮った物は 明暗差の激しい境界がおおく 自分で云うのも何だが、かなり大変だと思う。

 これを うまく焼ける(見せ掛ける)事が出来る様になれば、恐らく 大抵のものはそれなりに焼く技量が身に付いているはず。











 少しでも 失敗してしまうと、上の様に すぐ不自然なプリントになってしまう。









 引伸しの焼きの時間のコントロールに関して 実を云うともう一つ大きな問題が有って、自分のLED光源ユニットの制御回路は 5V固定出力のスイッチング方式のDC電源キットから電力を得ているが、そもそも その安定化電源回路へは その手軽さから これまた市販の12V固定出力のAC→DCアダプタを利用して DC電力を与えている。

 だから、印画紙への露光時に 引伸しタイマーに 今回の光源ユニットを繋ぐと 最初のACアダプタが 安定した出力を確保出来てはじめて 電力を出力するのか 引伸しタイマーの 引伸機への電力供給ONのタイミングより LEDパネルの点灯が 若干遅れてしまうという タイムラグが発生しており(3秒にセットしても 実質 1.5秒とか…) その自分なりの解消方法を探っているところだった。(だから、上の写真の覆い焼きというのは、1秒にも満たない動作を 何セットか 左手でマスク(黒い厚紙)を持ち、右手で LED光源ユニットの トグルスイッチを カチカチとマニュアルで押して施していたのだ…。こんな事をしていて 上手くいく筈が無いのだ…σ(^_^;) )

 それで、その解消方法というのが、LEDパネルへ電力を送る部分の配線にリレーをかませ 引伸しタイマーの引伸機へ送る AC100V ON- OFF の制御を 最後のこの部分に もってきてしまうという事。

 現在では、こんなごっついリレーを使わなくても(近所のパーツ屋にはこのサイズからしか無かった…σ(^_^;))、半導体で同じ役割を果たすものも有るらしいが、学習不足でよく解らなくて 結局 昔ながらのリレーを使ってみることに…。

 結果は 勿論 最後の部分で スイッチON- OFF している事になるので、極めて良好。だけど 電磁力で バネの付いたスイッチを入切りするので、暗く静かな暗室に カッチ カッチその音が 響き渡ります…σ(^_^;)。
 

 




なんか 凄い配線になってしまった…



 このリレーまで含めて 一つのケースに美しく収めたかったな…。





2013年5月16日木曜日

ZONE Ⅵ 引伸機の再生(その5)


 ZONE Ⅵ 引伸機の アンカーをどのように修繕したら良いか悩んでいる。

 今の自分の ZONE Ⅵ 引伸機は アンカーが付いておらず 正規の状態で無いので、 ネガをセットして プリントサイズやピントの調整のためにヘッドの位置を調整して しっかり固定しても 1日も経つと ヘッドが重みでかなり 下がってしまっている。(プリントする都度 調整している。)








 どういう事か よく判らないが(嫌がらせとしか思えないが…)、アンカーから伸びたボルトは アメリカから届いた荷を開封した時点で 大きくへし曲げられていて、元の真っ直ぐな状態に戻そうと 逆方向に指で力を加えると、いとも簡単に剪断してしまった。







2013年5月14日火曜日

ZONE Ⅵ 引伸機の再生(その4)


 やっと、新たに作った LED光源ユニットで テストプリントをしてみた。




まずは、適当に ブルーのLEDが2.50、パープルのLEDが1.70でスタート。



 正直云って ブルーのLEDの光とパープルのLEDの光は 単純に見た目の明るさでの比較は出来ないので 本当に まずは適当に…σ(^_^;)

 でも、取り敢えずのテストプリントなので 明らかに効果が出る様に パープルの方は 光量を強めと思われる様な量にしておいた。







結果は まぁ普通に… 若干ガリガリ気味に焼けた…σ(^_^;)







 きっちりテストピースを焼く時間の余裕がなかったので(本当に早朝 焼いているので、薄明が迫っていた) 立て続けに4枚焼いてみたが、濃く焼けてしまったものは かなりガリガリに…σ(^_^;)。

 でも、ここの処 どんなに焼込んでも 全体的に濃く眠くなっていくだけだったので 期待通りに ガリガリに しかも真っ黒く(小学校の時の木版画のインキのように 真っ黒ベタベタという感じ)焼けたのは 或る意味気持ちが良かったですよ…σ(^_^;)。
 だが 問題…というか 単純に喜んでいられない事も…







 焼き込みを加えていくと 像の濃度が上がるけれども、焼き込みを加えなかった部分に比べて 黒く硬い感じになってしまう。同じプリントの中で 部分により様々なグレードが存在して 一つの印画として観ると ちぐはぐ 辻褄が合わなくなっている…と云ったらいいだろうか…

 でも、別にこれは今回初めて感じたことではなくて、もうfocomatを使っていた頃から 勿論 既に感じていた事。

 ただ 集散光式のfocomatに比べ、散光式のZONE Ⅵ 引伸機では その辺にもう少し寛容かなぁ… focomatより 覆い焼きがし易いかなぁ… と思っていた(かなり期待していた)ので、その辺りは チョッと裏切られた感じ。


 




















2013年5月13日月曜日

2013.05.12 電子工作


 結局、この週末は LED光源の製作におわれて 無事ZONE Ⅵ引伸機への据付けも済ませたが、テストプリント迄 持っていく事が出来なかった。






 上の写真は、ニブラーで LCDのデジタル表示の電圧計の窓になる部分をくり抜いているところ






ブルーのライン OK!






パープルのライン OK!













 やはり 2つのLEDの調光回路のラインを ケースに組込むのに 慣れない作業ですから それなりに時間が掛かりまして…σ(^_^;)

 ZONE Ⅵ 引伸機に LEDパネルを 仕込んだ時点で 深夜になってしまいました。テストプリントは 明日以降に持越しです。







2013年5月10日金曜日

2013.05.10. つれづれ


 今は 目下新しいLED光源のパネルを製作中

 GW中 結局何処へも出掛けず 製作にある程度 時間を割いていたので、この週末には LEDの基盤への取付は 完了する予定だ。











 今回は、試験プリントをするにしても ブルーのLEDと 近紫外線のLEDの2ラインを 最初から立ち上げねば意味が無いので、コントロールユニットの製作も含めて完了させ そこ迄 もっていけるかは微妙なところだ。







 試験プリントと云えば 一つ驚いた事がある。

 まだ 本当にシートフィルムを使い始めた頃、JOBO DRUMが手に入って 急に撮って現像してみたくなり 急遽 近所のカメラ屋さんに行くと たまたまACROSのみ在庫で置いて有ったので それを買って すぐさま 撮影をした事が有った。

 連休最後の夜、その晩も 例の如く テストプリントを始めたのだが、たまたまACROSで撮ったネガが目に止まり プリントしてみる事に…。

 その繊細なトーンと 解像感にビックリ!








2013年5月7日火曜日

シートフィルムの引伸し


 ここのところシートフィルムの引伸しをしているが、ピント合わせには 非常に難儀している…σ(^_^;)。







 僕は ド近眼なので 近くは本来 物凄く良く見える筈なのだが、その僕の眼をもってしても ピントのピークがよく判らない。

 今まで 、focomat Ⅱcによるブローニーフィルムの引伸しであっても ピークルーペで見れば確実に銀の粒子の粒状が判り ジャスピンでプリント出来ていたのだが、シートフィルムの像を ピークルーペで見ても 引伸し倍率が低いのか 銀の粒子が粒立った様には見えないのだ。

 仕方がないので今は フォーカシングノブを前後して ネガ像のコントラストが一番高くなった位置をピントのピークとみなしている。

 今は 大四ツ切にプリントしているのだが、その程度の引伸ばし倍率であっても ZONE Ⅵ引伸機のヘッドの位置はかなり上の方にあり、またフォーカシングノブは そのヘッド部の左側面の背面寄りの位置にあるので ピークルーペを覗きながら 手を伸ばして フォーカシングノブを操作するというのは えらい体勢になってしまう。本当は専用のフォーカシングロッドが欲しいのだが、どこかに転がってはいないだろうか?

 その辛い体勢を維持したまま ピントを行ったり来たりさせるのは 結構苦痛な作業だ。気が滅入ってしまう…。





2013年5月5日日曜日

2013.05.05. プリント


 今のLED光源パネルでも焼けそうなネガを 引続きプリントしてみることに…







 明らかに focomat Ⅱcで引伸ばしていた時とは トーンが違う。

 これが散光式ということなのだろう。

 今回 自分の手持ちのネガの殆どは 軟調になり過ぎて上手く焼けなかったが、引伸機のタイプが 散光式に変わったので そもそも同じネガであっても 今までより軟らかい印画になってしまうという事なのだろう。

 ネット上のどこかの情報なので うろ覚えなのだが、Kodakのフィルムのデータシートの現像時間は 散光式の引伸機でプリントするために適したネガ濃度が得られる値だと 且つて見た記憶が有る。

 今回 以前にfocomat Ⅱcで焼いていた頃には、覆い焼きを駆使せねばモノにならないと思われた様なネガでも、少々の覆い焼きで ある程度モノになってしまうのには 正直驚いた。

 今、本当に自分で手にしてみて(所有して)実際に使ってみて 本などに書かれている 散光式の特徴、独特のトーンというのを 身をもって感じている。

 その違いは 今のところ 僕にとっては これもよく本などに書かれている事だが、一概にどちらがいいとは 簡単に言い切れない。それぞれに良さが有る。

 ただ 結局 世の中 何事においてもそうなのだろうが、僕は やはり最終的には何でも自分ひとりでやって見なければダメだと思っている。今回の引伸機の方式の違いについても 自分でやっていれば 先達が書き残して下さっていることも、言葉では上手く言い表せないような違いも 自ずと理解する事が出来る。

 でも、いずれ近いうちに 集散光式と散光式の違いについて感じた事を 自分なりの言葉で綴ってみようと思っている。上手く書き表せないし、上手くは伝わらないかも知れないが…(ただ 上のiPhoneで撮ったプリントの写真には 一部その片鱗を覗かせていると思われる部分も有るので 自分は…という方は 注意して観て欲しい)。








こいつも 焼いてみたけど…ちょっと浅いかなぁ…



 もちろん ベタ焼きは綺麗だし、8×10位のネガサイズになれば ベタオンリーでもいいかもしれないけど、やっぱり引伸ばして サイズが大きくなるとベタ焼きとは 印象が違うなぁ… 。

 僕は実際にその場所に立って撮影しているので、そのスペースを体感しているからかも知れないけど、ベタ焼きや8×10に伸ばしていた時は 完全に客観視というか カタログ冊子の写真を見ている様な感じだったけれど、 11×14位になると この時はこんな光だったなぁ…そしてその光ではここはこんな感じに写真上に再現されるのか…とか撮影していた時と今プリントを見ている自分が 時間を行き来している と云うか プリントに入り込んでいる自分に気付く。

 
 もっとも これらは建築を撮った写真で ただ単に ようやくこのサイズになって その塔なりスペースの スケールを感じるようなサイズにようやくなった…というだけのことかも知れない。

 でも 今日の僕は、引伸ばすのも有りだな…引伸ばして新たに感じられるものがあるなら 引伸ばす事 その技術を磨く事にも意味がある…と感じた。

 
 いずれ 気に入ったものは さらに上のサイズに焼いてみようと思う。 さらに上のサイズのプリントには さらに自分が入り込めるような錯覚を感じ、新たなスケール感を感ずるのかも知れない。

 
 実際、3月の二川さんの写真展でも、確か滋賀県の民家を写した写真だったと思うが(そのコマは恐らく 三脚据えてカッチリ撮られた様なモノではなく、半ばスナップの様な感じで捉えられたモノだったが)、いま自分がこの写真を観て得られた感覚(スケール感)は、このサイズ(かなり大きい)で プリントされていなければ 得られなかったろう…と明確に思わせるモノが有った。

 普段 自分は比較的プリントに近寄って凝視してしまうが、(その人がどの様にフィルム現像して それはどんな粒状をしているか、そして どの程度シャープな印画が出来ているかに興味が有るので…もっとも引いて観てみる事も忘れないように心掛けているが…)その時の写真は しっかり引いて観た。これくらいの鑑賞距離をとって観たときに得られるスケール感が 実際の撮影された時の感じに近いのでは…そんな事を感じ 幾度と無く 近寄ったり 引いたりして観てみた。本当にその写真が 展示されていた中では カッチリ撮られた様な感じではなく スナップ的に感じたので 自分にとっては意外なかんじだった。

 
 明らかに 広角レンズで撮られたようなモノではないので、撮ったレンズの焦点距離というのも もしかしたら 鑑賞距離に関わってくるものなのだろうか…

  







 ここのところ プリントするのも億劫になって しばらく停滞していたが、調子が上がって テストピースも本来の自分らしくなって来た。

 自分で日々プリントされてる方の中には、同じような事を感ずる方もおられるかも知れないが、一度 面倒な気持ちが芽生えてしまうと 段々億劫になってしまって 元のコンディション(モチベーション)に戻すのは大変な事だ。









先にも書いたが、この塔の写真のトーンなど 今まで経験した事の無い感じだ…







こいつは やっぱ今の ブルーのLEDオンリーのシステムじゃダメだな…





2013年5月3日金曜日

2013.05.03. 電子工作



今日から GW連休後半

 取り敢えず今日は電子工作からスタート!







 LEDの調光回路が トランジスタだと 沢山のLED(大きい電流)をドライブ出来ないことが解ったので FETに置き換え。
 もしかしたら 最終的に扱う電流の量に依っては 放熱対策が必要になるかもしれないので、後々放熱板が必要になった時に取付けられるように 基盤の際に付ける。
 
 
 ただ、引伸機の光源て 部屋の照明のように点けっ放しという事は無い筈なので、それ程の発熱は無いかもしれない。








 本当は 2SK2232というFETを探していたが、近所の電子パーツ屋さんでは扱っていなかったので、似たような型番の 2SK2312を購入。

 2SK2232からすると、少々オーバースペックのような気もするがどうだろうか?45Wってのが気になる。一度 しっかり計算せねば…

 手描きの絵、実物とちょっとプロポーションが違うが…気にしないで下さい。



 






とりあえずブレッドボード上のLED一個で 試験点灯。ちゃんと動作しました。








 ボリュームを廻して 点灯し始めは 本当に微かな光。クリアーシェルの中に僅かな緑色の光。結構綺麗で 見てると飽きないんですよね…








 次にいよいよ 250個以上のLEDが付いたパネルで試験点灯。立ち上がりは勿論 問題なし。








うおぉっ!、今度はドライブ出来るぅ!


  






 筐体ユニットの方には、2基のデジタルの電圧計を 取付る予定。これで パルスコードを調整して出力する部分である可変抵抗の処の電圧をモニターさせ ボリューム(可変抵抗)の調整値を 数値化させようと思っている。

 もしうまくいけば、ブルーのLEDの調光をするボリュームの値がX、近紫外線のLEDの調光をするボリュームの値がY、その組合わせが 何がしの時に何号相当とかというふうに 定量化出来る筈なのです。

 
 さすがに このLCD表示パネルを筐体に取付ける穴は、ドリル+リーマーという訳にはいかないので、いよいよ ニブラーを買って来なきゃダメだなぁ…
 
 








 このデジタルの電圧計は 秋月電子さんに もう出来あいの物が安価で売っているので、あとは自分の測定したいレンジに合わせて 基板上のジャンパーの設定を行うだけ。
 
 でも、これが意外に細かな作業です。ユニバーサル基盤にLED付けるのとは 訳が違います。


 また、このデジタルの電圧計は 電源として DC5Vを直接引込んで使用出来るので 今回の自分の製作するコントロールユニットに 簡単な設定で そのまま搭載出来るんです。






ふたたび LEDパネルの製作を開始! はじめの一歩







 今回は 思うところ有って 前よりもコンパクトに作ります。
 コンパクトとは云っても、もちろん 4×5を 余裕を持ってカバーする位のサイズで…。
 まずは ブルーのLEDのラインが 1通り完成。点灯チェック… 問題無し!





 
 次に 近紫外線のLED…。このLEDの出す波長は 本当の紫外線の領域には入っていないので まだ普通に紫色に見えるんですね。(この写真では 結構クドい位の紫色に写っていますが、実際は もっと爽やかな感じの紫色です)
 
 取り敢えず 引き続き製作を進めることに致します。結果は どうなりますやら…。(って今度こそ上手く出来ないと ヤバいんですけど…)