2014年12月1日月曜日

2014.12.01. プリント






   気を取り直して、先日の試みを 一から やり直してみよう…と云う事になった。

   先日は やり方が間違っていて、僕はfocomat Ⅱcのレンズの下に 多階調フィルターをかましていたが、少なくともネガの手前にフィルターがセットされていなければならない。

   自分の所有している focomat Ⅰcは そもそもカラーフィルターを挿入するポケットが無いタイプで、focomat Ⅱcに至っても ヘッドにカラーフィルターを挿入するための開口はあるのだが、そこに収まる フィルタートレイの様な部品が無い(蓋が嵌っている)ので 普通に多階調フィルターをセットする事が出来ない。 

   もっとも、自分は そもそもfocomat Ⅱcのネガキャリアやコンデンサーを丸々カバーするサイズのカラーフィルターすら所有していないのだが…。

   それでも、どうしても試してみたくて 居ても立ってもいられないので、チョっと無謀かなぁ…とも思ったのだが…半ば強引に focomat Ⅰcのヘッドの電球を取付る蓋を開けて コンデンサーのセットしてある 筒状の部品の上に 00号の多階調フィルターを 置いてみた。まぁ 何とか focomat Ⅰcのコンデンサーはギリギリでカバーしているかなぁ…といった感じだ。




   最初から 明らかに電球に近付すぎる位置になりそうなのは判っていて ヤバそうだったのだが…取り敢えず焼いてみたテストピースが、冒頭の写真だ。

   focomat Ⅱcから Ⅰcに変えて イーゼル上に投影された像が 何か明るい気がしたのと、ネガも変わっているからベース露光の時間も全く変わるだろうと思って focomat Ⅱcの時の720秒の半分位の時間から段階露光をスタートさせたが、結局 ベース露光は 今回の場合も720秒程 必要だった。




   改めて 別の紙に720秒のベース露光を施して、そこから60秒刻みで 段階露光を掛けてゆく。

   最初のテストピースを焼いた時点で 『果たして 多階調フィルターは 電球の熱に耐えられたのだろうか?』 という不安が有ったので、ランプハウスの蓋を開けて 様子を見たが、その時点では 特に問題が無かった。

   だが、2枚目のテストピースを焼いて(1枚目よりも長丁場になったので…)やはり気になってランプハウスの蓋を開けてみると、多階調フィルターの枠が 見事に 電球の熱にやられていた…。




















2014年11月25日火曜日

2014.11.24. プリント



   先週の日曜日の朝と 振替休日だった月曜日の朝 チョッと ふと思いついた事があって プリント作業をしていた。

   後になってみて 大きな勘違いをしている事に 気が付き 思っていた事についての答えは 今回は 出せなかったのだけれど…






   ここ 1、2年 実は 自分は プリントをするのに 多階調フィルターを 殆ど使用していなかった。

   殆ど去年は 自作のLED光源を使用してプリントしていたし(今年は使っていないが…σ(^_^;))、特別なフィルムを使って撮らない限り、自分のネガの殆どは 2号で焼けていたので、あまり必要性を感じていなかったのだ。

   一昨年、自分がプリントを頻繁にするようになった頃までは、巷で おそらく普通の人々が やっている通り、自分も 焼き付けには 必ずと云って良い程 多階調フィルターを使用していた。

   今年 とある写真展でプリントを 見せていただいた作家さんが 自身のプリントの話を丁寧にして下さり、親切に色々な疑問に答えていただいた折に、レンズの前に 多階調フィルターをかますと 印画の像が 若干甘くなるという事を訊いていた。

   後日、自分は感度はその分高くなるが 自分の使っているマルチグレード紙では フィルターをかませない状態では 2号相当で焼ける事を知っていたので、暗室で 実際に試してみると、確かに フィルターをかました状態と 何もかまさない状態 その都度都度で ピークルーペで ピントを確認してみても、レンズの前に 多階調フィルターを かませた印画の方が、若干 印画の像が 甘くなるのが 見て取れた。

   自分は すでにそれ以前に 引伸機の機種を変更するごと 或いは、引伸しのレンズをかえる毎に 多階調フィルターをセットする ホルダーを 付け替えるのが面倒な事も有り、また 冒頭にも話した通り、殆どのネガは フィルターをかまさずに 2号相当で焼けていたので、フィルターとフィルターホルダーは、部屋の片隅の何処かに追いやられ 忘れ去られていたのだ…。




   一昨年、普段使っている ILFORDのマルチグレード紙以外に、試験的に(?)号数紙がラインナップに加えられ 自分も 11×14のバライタ紙と 8×10のレジンコート紙を買ってみた。

   今年の秋になって、それらの購入から 丸2年の月日が経って 生モノだし そろそろ少しずつ使っていかないとマズいなぁ…と思い始めていた。

   11×14のバライタ紙の方は、購入した頃に 半分位 使ってあったのだが、8×10のRCの方は 未だに開封すらしていない。

   以前 このBlogで何度かふれた事があるけれど、自分は、引伸機の散光式と集散光式という構造の違いに 興味を持って来たし、あまり欲張って濃度の高いネガを拵えても ネガの濃度の高い(銀の粒子が集まっている)部分においては ネガに照射された光は 散乱させられて 露光時間を掛けても 思うように 焼けない事を イヤという程 身をもって痛感させられていた。

   去年、やはり とある写真展を観にいった際に 作家さんが いらっしゃって 色々とプリントについて たずねた処 丁寧に色々と応えて下さり その方は 集散光式の引伸機にナトリウムランプを取付けて プリントしている…という事だった。

   その時は、ハロゲン球や白熱球ではなく 何故ナトリウムランプを使用しているのか 肝心の その理由を尋ねるという事まではしなかった。(その時は、ハロゲン球や白熱球よりも 電力から 光エネルギーへの変換効率が良くて 出力は大きくても 熱の発生が少ないから…等の理由だろうか…と勝手に考えていた。)

   その後、その作家さんのプリントが素晴らしく また有名な方だった事も有り、暫く『ナトリウムランプ』という言葉が頭の中に残っていた。

    ある日 ネットで『ナトリウムランプ』について調べてみると、今の世においては ナトリウムランプといっても、改良されて様々な演色性を持ったものが存在するようだ…と云う事を そこで知ったのだけれど、自分の中で 一般的に ナトリウムランプと云われて 馴染み深いのは、トンネルの中などの照明に使われている オレンジ色や黄色に見える光だ。

   ネットでは、その橙黄色の光の効能と云おうか 他の光源に比べて 優れた特徴が何点か列記されていたのだけれど、その中に一点 気になる記述が有った。

   それは、「微粒子による光の散乱は、長波長になる程 小さいので、他の照明に比べて 空気中の粉塵などによる散乱の影響を受けにくく 照明の有効範囲が広い」という事。

   正直云って 自分がそれまで抱いていた感覚と違う…(勝手に思っていたのと正反対だ…)というのが 最初に頭に思い浮かんだ事だった。

   何か 波長が短い方が 小さな隙間もすり抜けて行きそうな気がするし、深海になると 青くなるのも 途中で それより長い波長の光は 散乱させられて届かないからだと思い込んでいた。(実は 海に潜ると 青くなっていくのは 違う理由かららしい。云われてみれば、朝焼けや夕焼けが赤やオレンジなのは 日中より太陽の光が浅い角度で降り注ぎ 太陽が天頂附近にある時よりも 光が大気圏の中を進む距離が長くなるので その間に 大気中の微粒子によって 波長の短い光ほど散乱させられてしまった結果だというのは 訊いた事がある。)

   波長の長い光ほど 微粒子によって散乱されにくい…と云う事実を知って、疑問というか 自分の中に一つ試してみたい事柄が思い浮かんだ。

   それは、波長の長い光と短い光で同じネガをプリントした場合、印画に差が出るか? と云う事。

   でも、気を付けなければならないのは、巷に溢れているマルチグレード紙を使っても マルチグレード紙は そもそも それぞれ 異なる波長の光に反応する幾種類かの乳剤が 一つの支持体に塗られていて それぞれの乳剤が 恐らく異なったグレードを担っていて、00号から5号のフィルターを用いて それらのある特定の領域(グレード)を選択したり、スプリットグレードの技法のように 意図的に 複数のフィルターを用いて 2号、3号といった馴染みのグレードに捉われずに 印画を創作出来る様になっている。

   今回の僕の試みを果たすには、普段は 恩恵を受けているその仕組みが かえって障害になってしまっている。

   そこで、冒頭の多階調フィルターと号数紙の出番となる。2号の紙に焼き付けるからには 塗布されている乳剤に有効な範囲内なら どんな波長の光でも 2号相当のグレードに焼ける筈だし(我ながら強引な解釈だ…)、逆に号数紙では使う事のない 多階調フィルターを用いてある特定の帯域(どの位の巾を持つのか知りもしないのだが…) の光だけを選択して 焼き付けをして、波長の短い方と長い方の結果を 見比べよう…という訳だ。

   何はともあれ、焼いてみた…





   極端な話だが… もし結果に違いが有るなら 一番差が付いて分かりやすいだろうと思って、それぞれ 00号と5号のフィルターをかまして焼き比べてみた。

   結果としては、パッと見て スグ判る程の差は見い出せなかった…。もっとも、それもその筈 冒頭で いきなり書いてしまった通り、今回の僕のやり方そのものが 全く的外れで間違っているのだから…。

   チョっと書き進めてしまったので、スクロールが面倒かも知れないけれど、もう一度 冒頭の写真を見て戴きたい。僕は何故かレンズの下に 多階調フィルターポケットを取付けてしまっている事が判る。

   これでは 意味が無い。この時点で 多階調フィルターをかましたところで、フィルターポケットに到達した光は すでに ネガを通り抜けて来ているのだから、既に銀の粒子によって散乱させられてしまったモノも一部 降り注いでいるかも知れないが、その大半は キャリエ効果の影響を受けずに 印画紙に辿り着いた 選ばれた光たちなのだから…。






   今回は、結果的に こんな意味の無い事をしていた事になるけれど、何枚ものプリントをしている中で 幾つか気付かされた事が有った。

   一つは、或る程度 事前に予測をしていたつもりだったのだが、自分が思っているのよりも遥かに00号のフィルターを通した光だけでプリントをするのは、露光時間が掛かると云う事。

   上の写真が そのプリントなのだけれど、何もフィルターを付けずに ダイレクトに焼くと ベース露光 僅か8秒だったプリントが(通常そこから 更に何段階かの焼き込みを加えるけれど…)、00号のフィルターで 同じ位のベース露光を しようとすると、何と720秒(12分!)も掛かってしまう。

   そもそも、コレだけ感度が低いと云う事は、この印画紙の設計においては その帯域の光を使う事など 念頭に置かれていないと云う事なのだろう。

   でも、720秒の露光でも普通にプリントする事が出来たし、そんなに長く露光に時間を掛けていると カブりはしないかと心配だったが、特にそういった事も感じなかった。






   









2014年9月29日月曜日

SWCの事

 

  お盆休みの旅行中に SWCを購入して使い始めた…。




   はじめてのHASSELBLADなので、フィルムマガジンの扱い方は 一通り取扱い説明書を読んでやってみたが、思っていたより 分かり易かった。引き蓋を引かずに閉めておけば シャッターをチャージしても 切る事が出来ない様になっているので 有難い。 でも、レンズキャップは つけたままでもシャッターが切れてしまうし、常にフードを着用していて 覗き込む様にしないと確認出来ないので、注意したいところだ…。Mamiya7を夢中になってガンガン使っていた時、つい何度か未露光のコマを作り出してしまっていたが、そういう事が 無い様にしなければ…。





   今回 自分の購入したのは 厳密に云うと 903SWCという型番のモデル。

  もはや伝説の様に取り沙汰されている Biogonの描写を はなから信用していない訳ではないのだけれど、たまたま買いに行ったお店のラインナップには 白鏡胴のCレンズの付いたSWC(SWC/M?)も有ったのだけれど、レンズフードが付属しておらず ついクセナー付きの昔のローライのネムい描写が脳裏をよぎり 別にクラシカルな写りを求めている訳では無いのだから…と自分に言い聞かせ 大枚はたいて後悔だけはしたく無かったので、考えていた予算を遙かにオーバーしてしまっていたが、903SWCを選ぶ事にしたのだ。




























2014年8月22日金曜日

2014.08.13. つれづれ



    お盆休み 初日、前から どうしても宝厳寺の唐門を 4×5で撮りたいと思っていたので、彦根からフェリーで 竹生島に渡った。

    実を云うと 4×5での撮影は 去年のお盆以来 実に1年振りの事だ。このBlogの更新も ここ1年はあまりしていなかったし…。まだ去年撮影して現像せずにフィルムが入ったホルダーが山の様に有る…。別にロールフィルムの現像がたまっていくのも それはそれで気が重くなったが、何しろホルダーは空にしない限り 次の撮影の為のフィルムが装填出来ないので、撮影済みのホルダーが積み重なっていく様を見ると本当に気が重い…。正直 少しウンザリしてしまっていたのだ。

    それでも 前の晩に貯まっていた撮影済のホルダーの中から 6枚程 皿現像をして 既に空になっているモノも含めて 15枚程のホルダーを確保。お盆休みの撮影分の空きを確保したのだった。













2014年6月19日木曜日

オンボロ ローライを使いはじめる

   一昨年の秋 eBayで落札してから そのまま 放ったらかしにしてあった ローライを使いはじめた。




   ローライは以前から欲しかったので、この値段じゃ安い!と思って飛び付いたのだけれど、今になってみると チョッと微妙だ。

   ローライの事をあまり知らなくて、それでも 80mm f2.8の系統と 75mm f3.5の系統が大まかな括りとして有る事は知っていたのだけれど、入札時にあまり画面を見ていなくて てっきりオンボロでも75mm f3.5のクセノター付きのローライが届くと思っていたので、箱を開けて クセナーの文字を確認した時は、チョッとがっかりした…。(それまでは、クセナーは ローライコード オンリーだと思っていた)

   人というのは(というより自分だけかも知れないが…)不思議なモノで 知らなければ それで済むのに f3.5でもクセノターだど思っている処に クセナーが来ると 「何だ4枚玉か…」とチョッと萎えてしまう。

   クセナーも結構写りに定評が有るみたいだけれど…今の自分はまだ「チョッと…どうなんだろう?」という感じだ…。

  でも、事実 テッサー付きの スーパーイコンタを所有しているし 結構写るが 何か あまり愛着が湧かない。ぶっちゃけてしまうが、あまりテッサーという言葉の響きも好きじゃない。

  不思議なものだ。今 メインで使っている focomat Ⅰcについている引伸しのレンズは エルマーだというのに…。

   だから、ズミクロンやズマロンで せっせこ撮って 全部エルマーで引伸している訳になる。

   殆ど 気分の問題だけど、でもこの御時世に フィルムを使って写真を撮るのって そんなモンじゃないだろうか…。

  自分は 出来れば 良いカメラで写真撮りたい方。「あとは撮る人 アンタ次第」って自分に言い聞かせて「そうだ自分は今はコイツを手にしているんだもの…」と思って撮ると 余計な事を考えずに より無心になっている自分がいる気がする。

   話がすっかり逸れてしまった…。ローライの話だった…。




   取り敢えず 400TXで1本撮影して ストックのD-76で現像してみたのだけれど、かなりのベースカブリだったので、2本目は DELTA 400でささっと撮って TMAX DEVELOPERで現像してみたけれど、やはりベースカブリが大きい。

   古いカメラなので 内面反射の対策が 上手くなされていないのか 何なのかよく判らないが、フードもつけられていない古いレンズでの撮影という事も あいまってネガ像は 凄く眠い。とても2号で焼けそうもない…。

   PENTACON Sixの80mmのビオメターで撮影した時も 眠いネガだったが、それと同じくらいだ。

   そういえば、ローライには 80mmのビオメター付きの 2.8Bというのが あったと思うけれど、中身は殆ど同じなのだろうか?興味は尽きない。(もっとも、ビオメター付きの2.8Bの現物すら 僕は未だ 見た事もないけど…)

   とにかく、こんな眠いネガをいつまでも 見つめていても何も判らない…。

   …ということで、さっそく引伸ばしてみた。取り敢えず 多階調フィルターを かましたくなかったので、フィルター無しの2号相当で焼いてみた。

   ちなみに、露光は focomat Ⅱcの引伸し倍率は 丁度4倍の処を指し示していて、 f11で 2.4秒 覆い焼きなどの余計なテクニックを拒むかの様に短い…σ(^_^;)。ならいいや…と思って、敢えてストレートに焼いてみた。薄曇りだった空が真っ白になっても 今回は気にしない。

   意外だったのは、2号でも結構 イケた…。ただ、今のデジカメの絵に慣れた人に見せても眠い絵だから「何コレ…」って云われそう。

   下の写真が そうだけど、iPhoneで撮ると それだけでiPhone自身のエフェクトが掛かって メリハリのある画に なってしまう。本当は もう少し浅い画だ。だから、あまり 濃いめに焼くと、人の顔のディティールが 埋没していって 見にくくなる。

   下の写真は iPhoneでオートで撮っているので 全体の濃度も少し濃い。2.5号のフィルターをつけて焼くと 丁度この位になるかも知れない。


   


   



   実際に ひと昔前の自分だったら 多階調フィルターをかまして この位で焼いていたと思う。

   今回使ってみて思ったのは やっぱり真四角写真て なんか馴染めないなぁ…という事。人物を写してみても、真四角の画面の中への収まり具合が 何か気に入らないのだ。

   繁々とネガを見ても あまりイメージが湧かない。真四角に向き合わされて 何かいつもの感覚を無くされている感じ。プリントしてみて「こんなんだったんだぁ…」という感じだ。自分はいつもベタ焼きを作らない人なのだけど、6×6に関してはそれは改めた方が良いかも…。

  ただ、PENTACON Sixの時より ピントグラスの視野率は高い気がする。こんな風に写したつもりはないのに…という感じは あまりしなかった。

  ただ、あんまり近寄って撮ると パララックスを意識したフレーミングも必要になってくるのだろうか?。

  でも、今の自分は あんまりそんな細かい事に拘るよりも、数を撮って 真四角写真の感覚に馴染んで 自然体で被写体に臨める様になりたい。

   撮っていて意外だったのは、自分がピントやフレーミングに迷ってモタモタしていて 待たせているという事も有るけど、撮らせてもらう人達に口々に「上と下(のレンズ)どっちを見ていればいいの?」と言われた事。

  そんな事 気になるのかなぁ…というのが 正直な感想。でも、よく考えると カメラを覗いていじくりまわしている自分の無防備な姿は はたから見ると結構 滑稽かも知れないなぁ…とチョッと普段は考えもしない逆の光景について考えてしまった。














2014年6月16日月曜日

はじめての皿現像

   久々の土日休みだったので、去年 撮影して ホルダーの中にそのままになっていたシートフィルムを現像する事にした。

   かなりの枚数の未現像フィルムが有るのだが、JOBOドラムに詰めて 5枚ずつ現像していたら 手間が掛かり過ぎて 気が遠くなりそうだし、以前から 自分もしっかりした暗室を持って 皿現像出来たら シートフィルムの現像も 手っ取り早いのにな…と 思っていた。

   そこで、夜が更けるのを待って お座敷暗室で 皿現像してみる事にした。

   チョッと手頃なサイズの写真用のバットが無かったので、現像液は D76のストックを 小四切サイズのバットに 2リットル流し込んだ。

   本当は 8×10用のバットが手頃だとは思っていたのだけれど、普段 使う機会が無いので持っていなかった。

   キャビネ用のプラスチックバットを1枚 買ってあったのだけれど、液中で フィルムを くゆらせるのに 4×5に対して このサイズでは少々手狭な感じがしたので、小四切サイズでは 少し大き過ぎる気もしたが、仕方が無いので 今回は我慢した。

   やってみた感じとしては、やはり8×10サイズの方が 手頃だと思うけれど、余裕を持ったサイズのバットでやって良かった。

   以前どこかで読んだ記事で、あまり余裕の無いサイズで現像すると、液を循環させるためにバットを揺らしても縁の付近は はね返りにより液の入れ替わりが早いが、中心部は それより応答が遅れるので 積み重なると現像ムラを生ずると云う様な事が書いてあった気がする。(もっとも、4×5程度のサイズではなくて 8×10クラスのもっと面積の有るシートフィルムの話だったかも知れないが…)

   バットのサイズが大きいと、バット自身を揺すらなくても、液をタップリと余裕を持った深さに張っておけば、フィルムを手に挟んで 液の中でくゆらせる事も出来る その点に関しては 本当に大きいサイズで現像してみて正解だと思った。

   一方で、現像の停止は、一度にドボンと停止液に浸けてしまえれば、後の攪拌は それ程シビアになる必要は無いと思っていたので、キャビネサイズの写真用のバットを使う事にした。




 
  上の写真は シートフィルムの現像を済ませて 停止液の入ったバットに浸して 現像を完全に停止させて 部屋の明かりを点けて明室にしたところ。

   よって、まだ定着は済ませていない状態なので、フィルムは素抜けになっていなくて 乳剤が残ったままの状態だ。

   後になって思うと、薄手のゴム手袋か何かをつけて作業すれば良かったのかもしれないが、ヌルヌルの現像液から 停止液の中に 素手でフィルムを浸けて 瞬時に中和されてヌルヌル感が無くなるのを肌で感じるのも 悪くないものだ。

   フィルムを巻き上げて カメラのシャッターを切るのも心地良いが、フィルムの現像を通して水と触れ合うのも心地良い。

   現像と停止は 写真用のバットを使ったので 底にカマボコ型の凹み(溝)が有り フィルムが底に着いても その凹みに指を滑らせれば 簡単に取り出す事が出来る。

   本当は 慣れれば「トランプ現像」と云って 重ねたカードを切る様に 一つのバットで 順繰り順繰り面倒を見て 何枚か同時に 現像出来る様になるらしいが、それは もっと数をこなして度胸がついて来てからにしようと思う。

    その後の定着は 大きいカップの様な容器に ひたひたに定着液を満たして なるべく定着液に触れる事の無い様にして フィルムを出し入れして済ませた。

   いつもそうなのだが、バライタ紙を あんなに念入りに 時間を掛けて水洗いしている事を考えると 定着液は 決して安易に 素手で触れる様なシロモノでは無いという感覚が有る。チョッと触れただけで 角質の中まで しっかり浸透していそうだ…。

   その後、定着を終えて 水洗促進剤の中に浸した後 また素手で挟んで一枚ずつ水洗した。




   正直云って、以外に簡単なので拍子抜けしてしまったのと(現像ムラは起きるかも知れないと思っていた)、夜暗くなってからしか出来ないという時間的な制約は有るが、JOBOドラムで現像するよりも段取りが少なく ホルダーから取り出して好きな枚数だけ現像出来るのが ものぐさな自分の性分に有っている気がした。

  ただ、今はもう6月 夏も近く 水道の蛇口から出た水の水温は 24℃も有る。まだ これ位なら致し方無し…としているが、そのうちスグに水温調節に追われる季節がやって来そうだ…。



   










2014年1月27日月曜日

2014.01.27. つれづれ


 結局、手持ちのfocomatのヘッドに換装出来る様な形で 近いうちに 散光式か 冷光源の自作ヘッドを作ってみて 使い慣れた focomatで かつてプリントしてみたネガを焼き比べて 自分なりに 散光源式と集散光源式、或いは冷光源でプリントした場合の調子について 考察してみようという事にした。

 最初は何も考えず ただ漠然と頭の中に focomat Ⅰcが思い浮かび、4×5や5×7に比べれば 結構コンパクトなサイズに出来るだろうから 材料代も時間もそんなに掛からないかも…と軽く思っていたけれど、よく考えると focomat Ⅰcはネガを コンデンサーレンズと ネガキャリアで挟み込んで 平面を出して プリントする様な方式になっている事に気が付いた。










 厳密に云うと 僕のfocomat Ⅰc達は コンデンサーレンズの先端にレンズキャップの様に 一台は四角いマスクがきられた只のキャップの様な スペーサー、そして もう一台は アンチニュートン処理したガラスが取付られたフィルターをかます様になっている。(確か、Valoyは後々 コンデンサーレンズ自体が アンチニュートン処理された物に変わって 何か先端にかます必要が無くなったと思ったが その後のfocomat Ⅰcはどうだっただろうか?もう 忘れてしまった…σ(^_^;))






   ならば、Ⅱcのほうで考えてみるか…と思って ヘッドの白熱電球の付いた蓋を開けてみたが 自分の想像していた以上に大きい…σ(^_^;)。

   150φ位の気でいたので、塩ビの排水パイプが 丁度いいかな…と思っていたが、200φ位でないと とても収まらないサイズだ。まずは、しっかり採寸せねば…。

   それにしても、開けた時いつも思うが もの凄いガラス玉が仕込まれている…。このガラス玉の収まっている容器には バケツの様な取っ手が付いていて それを摘まんで 上に引き揚げる様になっているのだが…結構 緊張する…。もし落としたら えらい事だからね…。










2014年1月9日木曜日

散光式と集散光式 (その2)


 新しい年が明けた…。

 ただ、年末年始の連休中も 写真に関する事は 何もしなかった。(せめて 何処へも出掛けなかったので、年越しでプリント作業でもしてみれば良かったな…)

 今は 仕事の方が バタバタしていて 気持ちが落ち着かないと云う事も有るけれど、何か 暗室作業をする気に無れない。

 冬という季節の問題も有る。

 僕の家は古い木造の家で 夜中に 暖房を入れて ぬるま湯を貼った大きなバットに更に入れ子状に それより小さな現像液を貼ったバットを浮かべて(実際は ぬるま湯を貼ったバットより 現像液を深く貼って バットごと浮かんでしまわない様にするが…) 時間の経過と共に時々 挿し湯して 液温を20℃以上に保ちながら作業する。春〜秋と勝手が違って そういった段取りを踏まなければならないのを想像しただけで 気が滅入ってしまうのだ。

 ただ、最近古い写真関連の雑誌の記事の とある方の話として チョッと気になる記述を見つけた。

 夏は 気温の関係で、液温が高くなり 黒の締まりが悪くなるので 気を付けなければならないと云うのだ。(もう 細かい事は忘れてしまったが、その方は夏場のプリントは あまりやらない様な事も云っていたかも…)

 自分は 液温が20℃以上にする事には 心を砕いていたが、ゼラチンが緩んだりするようでなければ 液温が或る程度 高くなっても問題無いと考えていたので この話は少し以外だった。

 本当にそうならば 改めなければならないので、もう少し調べたり 実際に演って見比べてみる必要が有りそうだ。

 実際のところ、昨年は あれこれやってみたが どうも自分が求めている様な描写に出会えない…と云うのが モチベーションを下げている要因だ。

 それでも 春をむかえる迄には なんとか始動して また あれこれ試していきたいと思っている。



 そこで、その前に 去年自分が感じたことを振りかえり チョッと整理しておこう。







 去年 自分は 自らの所有するものとしては 散光式の最初の1台となる ZONE Ⅵ引伸機を 再生して 4×5で撮った写真をプリントしてきた。

 結局、あまり満足するようなプリントを製作出来なかったが、 一年の写真生活の中で 敢えて「自分が求めている様な描写」に一番近いと思うモノを選べ…と云われたら 真っ先に思い浮かぶのは上の写真(テストピース)だ。

 この写真は これをプリントした当時 何らかの記事にして このBlogに載せていると思う。

 しっかりとした記録を採って無くて このプリントを作成した時の情報が残っていないので ハッキリ憶えていないのだけれど、GW前後に 確か最初の 緑と青のハイブリッドのLED散光ヘッドを拵えて 緑と青の光をミックスして焼いたのだけれど、あまりにも眠い画にしかならないので、青のLEDの光だけにして焼いたものだったと記憶している。(少しでも眠い画を黒くしようと プリント現像液として使用している KodakのPolymaxTも若干 希釈率を下げ 濃くして使っていたかもしれない)

 当時の事をハッキリ憶えていないと 先程 書いたけれども、これでも もちろん若干眠い印画なのだけれど このテストピースの描写やトーンが我ながら 美しいと感じたので、何度も手にとって しげしげと観ていた記憶だけは残っているのだ。

 この写真、これが散光式の特徴だと思うのだけれど、多宝塔の庇の陰の下 陽の当たっている部分は、廻りの部分の影響からか 若干 濃度が載っていて(この部分に関しては 純白でも構わないが僅かにグレー掛かっている) 集散光式のfocomatで焼いていたものと比べると眠くて力強い感じでは無いのだけれど、控え目な分、落ち着いた 非常にリアルに輝きを感じさせるようなプリントには なっていると思う。多宝塔の黒く煤けた木の質感、切石の基壇の質感、上部の組物の一見漆黒と思われる中にも 良く観ると僅かながらに 階調が感じられる。そして 引伸し倍率としては そんなに高くないという事はあるが、非常に細かく繊細に写っており、とてもシャープだ。

 このプリントを作った頃から 薄々感じていたけれど、一般に巷では 散光式の引伸機で焼いたプリントはトーンが豊富で軟らかい…と云われるが、少し違う様な気がする。







 この後、更に硬調に焼けるようにするために 青のLEDよりも短い波長の光を生み出す 近紫外線域のLEDを付けた 青と紫のハイブリッドの照明を作ったが、濃く焼ける様にはなったのだけれど 何か違う。

 確かに 日向から日陰まで プリント出来ているのだけれど、覆い焼きなどを駆使して(自分が撮っている被写体(古建築)では 未だ自分の撮影技術、現像技術が未熟で有る事もあるかも知れないが ストレートに焼いて良いプリントが出来るネガなど無い) 局所的に辻褄が合っているのだけれど、全体としての 統一感に掛け ちぐはぐな印象を受ける。

 どうもfocomatで焼付けしていた頃の コレで良いやん! という風な感じにはならないのだ。








 上の写真も記録を採って無くて  ウロ憶え程度にしか記憶に残っていないのだけれど、近紫外線のLEDオンリーか もしかしたら少々 青いLEDの光も加えて 焼付けしたプリント。

 それまでの光では 濃度の高いプリントが出来なかったのに、近紫外線域の光で焼付けると あっさり真っ黒いプリントが出来て 拍子抜けしてしまった事を憶えている。

 ただ、シャドーの部分は ベッタリしていて、まだ水に浸かっていたプリントを引き揚げて スポンジで 軽く表面を拭った時の黒い艶が何とも云えず iPhoneの写真に収めていたのだった。(決して この黒さが自分の好みだと言っているのでは無い。)


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   …と、先日ココまで記述していて、そもそも前々から解ってはいたのだけれど、自分は 散光式と集散光式という事と、今迄 focomatなどで使って来た光源(白熱電球)と冷光源(厳密には 陰極管とLEDの光を全く同じものと考える事は出来ないが、まぁ ここでは一旦 LED光源は 冷光源の括りに入れておこう)という事をごちゃ混ぜにして扱っているので さすがに このままの状態で 色々な事をして考察し アレコレ云ってみても 仕方が無いなぁ…と思うようになった。

   やはり、散光式と集散光式という事と 通常の光源(白熱電球)と冷光源(陰極管とLED)という事は 分けて考えねばならない。

   その為には、4×5のフォーマットを伸ばせるコンデンサータイプの引伸し機を 手に入れるのも 近道で それはそれで一つの手だが 少し経済的にも設置スペース的にも苦しい…σ(^_^;)。

   そこで、今あるfocomatのヘッド部分を 換装出来る様に 自分で 集散光式のヘッドであったり LEDやもしくは場合によっては陰極管のヘッドを製作してみたら どうだろう…と 最近 頻繁に考えるようになった。

   ここの処 バタバタしていて すぐに…と云う訳にはいかないが 遅くとも春先くらい迄には思い腰を揚げて 取組んでみようと思っている。



関連する過去の記事 散光式と集散光式