2024年7月1日月曜日

僕がプリントの時に黒縁を出すわけ(その2)

 僕がプリントの時に黒縁を出すわけ(その2)



昔撮影した写真を focomat Ⅰcでプリントしたもの
24mmのシフトレンズで撮影しています。
カメラはライカではありません。


































 focomatⅠcでプリントすると イーゼルのブレードで覆ってしまわない限り 四周黒縁が出来るのですが、ネガキャリアに切られているマスクのサイズは決まっているので 基本的に自由にそのサイズを変える事は出来ません。

 黒縁を上下左右きっちり揃えようとすると結構 難儀します。マスクのサイズを自分で削って大きくする強者の方もおられる様ですが、自分は少なくともオリジナルのネガキャリアを 改変するには 気が引けるので もう少しマスクのサイズが大きい方が何かと便利なのですが 手に入れた時のままの状態にしています。




ライカで撮ったか、コンタックスで撮ったか、コンタレックスで撮ったか
憶えていませんが このコマは黒縁がしっかり出ています。









































 focomat Ⅰcの時の黒縁は 細くて附属のネガキャリアに依存するものでしたが、その細くて繊細な黒縁からでも判る事が有ります。

 自分は 殆ど毎日か少なくとも一日おきくらいにはプリントしているのですが、日々におけるプリントの処理枚数はしれたものなので 現像液は使用後 容器に入れて使い回しています。

 現像液を使い回していくと 液が疲労したり 酸化して能力が落ちてきます。ただ、黒縁が有るとその黒さで 現像液がどの程度 処理能力が落ちてきたのかを知る指標になります。



















 







 比較的 濃い部分が少なかったり 曇天で空の表情が無い様な背景の場合 四周の一部が 印画と素の印画紙の状態の境が判らなくなる時が有りますが、そんな時でも 黒縁は印画に引き締まった感じを与えますし そういうイメージをプリントしている時ほど 現像液の劣化に気付きにくいのですが、黒縁の濃さを確認し続ける事によって 現像液の状態を把握する事が出来ます。(但し、そういう印画に限って 新鮮でストロングな現像液より 少々 疲労した現像液で柔らかさ重視でプリントした方が 黒縁は締まりませんが 却って良い結果になったりしますが…。)


 そんなこんなで 黒縁を付けてプリントをし続けた結果、いつの間にか 黒縁の付いたプリントが当たり前になってしまい 黒縁をつけた引き締まったプリントでないと 満足出来ない状態になっていたのです。



focomat Ⅰcでテストプリント中の様子
M3に35mm f2.8のズマロンにて撮影したカットです
ネガキャリアの下の方の窓の処 コマ番号を見やすくするためか
赤窓の中身が取り除かれて 素抜けの状態になっています。



















 







 最初はLeica(35mm)で撮ったネガだけで満足していたのですが、そのうちに それだけでは物足りなくなってきます。

 focomat Ⅰcを使い始めてからどの位経っていたのか 今となっては憶えていませんが(一年も経っていないと思いますが…) 最初は自分なぞが所有するのも畏れ多いと憚っていた focomat Ⅱcをヤフオクで手に入れます。

 focomat Ⅰcの時もそうだったのですが 所有者の方の元に引取りに伺いました。都内在住の写真家の方でした。バブル全盛期に 中古で90万円程で買い求めたとの事でした。ずっしりとした筐体にもシビれましたが 大事にされていたものを譲っていただくので 少々身の引き締まる思いでした。
(後日 この写真家の方に gallery bauhausにて チョートクさんのギャラリートークの時に偶然再開しました。またfocomatⅡcを手にされたい様子でした)

 focomat Ⅱcを手に入れてからというもの こちらの方がメインになっていきました。

 focomat Ⅰcは勿論すばらしいのですが Ⅰc自体も小さいし 取り扱うネガも小さいので レンズ廻りの割と込み合ったゴチャゴチャした処で 絶えず作業する感じなのですが focomat Ⅱc はレンズと台板の間も それなりに離れているので そういう意味で 何か自分の気持ちにも 最初からゆったりとした余裕があります。
 普段 ご自分でプリントされない方は 突然 変な事を云うと思うかも知れませんが 自分にとっては 重要な事です。 尤も 自分はお座敷暗室で 畳に座って作業しているからであって、立ったり 椅子に座った状態で 適切な高さの机に 引伸機を置いて作業されている方は そんな事を感ずる事も無いのかもしれませんが…

もう一つ。今もそういう感じなのですが、やはりライカ判をfocomat Ⅰcで伸ばしていると 8×10まではある程度許せるのですが それ以上の大きさのサイズになると 色々とアラが見えてきます。そのアラが許せなくて ストレスとなり ネガサイズに余裕のある ブローニーや それを引伸ばすfocomatⅡcにシフトしていったのです。

 focomatⅡcを手に入れて 一番驚いたのは ネガキャリアの凝り様でした。それまで自分が見てきたモノと違って 『ここまでする?』という感じと それを支える工作精度の素晴らしさに驚きました。



Mamiya7で撮ったネガをセットしたところ
6×9迄の対応なので 左右に余裕が有ります。
マスクを使用せずにセットすると
上下方向にも若干の余裕があるのが判ります。

























   



 このネガキャリア 出来も見た目も素晴らしいのですが、すこぶる使いやすいのです。但しネガの表裏両面をガラスで挟み込む方式なので ネガやキャリアのガラス面に付着した埃がそのまま印画に克明に投影されてしまうので そういう意味ではストレスが溜まります。

 まあ それはともかくとして、それまでの もう既にマスクが穿たれたⅠcのネガキャリアと違い ここでは 完全に自由です。黒縁を出すも出さないも自由。黒縁の太さもキャリアが許す範囲までは自由。

 もうすでに黒縁を出すのが当たり前でしたので これでますます 黒縁無しのプリントでは物足りない人になっていってしまったのです。




focomatⅡcを手にしてからは何でも有りになっていきます。
この頃は よくMamiya7にILFORDのDELTA100で撮っていました。



































 続きます。

























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