2023年10月21日土曜日

ペーパー現像液について (※2023)

  秋の夜長…と言うほどでも無いが 以前に比べてだいぶ日も短くなって来た。

 エアコンの無い御座敷暗室では 冬の寒さに耐えるほどでは無いが 

夏の暑さも我慢せねばならぬ。

しかし ここ数日は寝巻き姿で作業しても暑苦しく無い陽気になって来た。

 御座敷暗室といっても 手前の暗室は実際は 部屋の両側の襖を閉め切って 使用しているだけ

なので 夜明けとも時間の闘いを繰り広げている事になる。


日の出が迫る 襖の間から御来光が…










 




 最近はRCペーパーで夜な夜なプリントを楽しんでいるのだが、ここの処 ペーパー現像液は

 ILFORDのSILVERCHROME BW PAPER DEVELOPERを使用している。以前は同じ様に

濃縮液から希釈するタイプのKODAKのPolymax Tを愛用していたのだけれど KODAKが

写真薬品の日本国内での販売を打ち切ってしまったので、色々なモノの値段が上がって来た

最近の状況を鑑みるとコストパフォーマンス的に 自分にはこれ一択…という感じに

なってしまった。

 かれこれ十数年前、自分が自家現像を始めた当初は これまた濃縮液タイプのILFORDの

mulchgrade  developerを贔屓にしていたのだけれど、液が劣化してくると黒の締まりが

比較的早く落ちてくるのと、そもそも希釈した後の作業液の寿命が短いのが 日々少しづつ

プリントするスタイルの自分にはネックになっていた。

 ILFORDのFBとの相性、柔らかなグラデーションの連続した絵柄での目を見張る様な

穏やかなトーンには大変満足していたのだけれど…

 そんなこんなで続いては こちらも通販でも用意に手に入る事から KODAKのPolymax Tを

常用していた。

 こちらは黒の締まりも良く 希釈した作業液の寿命も先述のILFORD mulchgradeよりは

良い感じで 希釈する前の1ℓの濃縮液自体が容器の中で残り少なくなって来ても

(容器の中に空気の占める割合が多くなって来ても…)ILFORDのそれよりは 

劣化の度合いが少ない様に思われた。


薬品棚のペーパー現像液の様子
この位まで容器内の原液が少なくなって来ても 劣化が少ないのか
液が褐色を帯びて来ないです。※左の方は 使用後の空容器に水が入っています。



 













 ザックり云ってしまうとILFORDのそれよりは繊細さに欠け大味なのだけれど その分 扱い易く通常時においては必要にして十分でコストパフォーマンスが高かったのだ。


日々プリントした時点でこの様な写真を撮る事にしている。

こうして全体を写しておくと そのプリントを作成した時の現像液や定着液が

どの様な状態だったのか 後から知る事が出来る。

ちなみにこの写真 手許のメモで辿ると現像液を希釈してから

4週間近く経っていて8×10にして約30枚処理している。











 









 ここ最近の自分は日々プリント作業を行うかわりに 夜明け前の1時間程度しか 

作業をしない。

実際 自分にとってプリント作業は集中力を必要とするので 長くても2時間くらいしか 

テンションが持たないし、事前にコーヒーを一杯淹れて ゆっくりとした時間を過ごし 

少し気分が落ち着いたところで スパッと気持ちを切替えて作業を始めるのがルーティーンに

なってしまっている。

 もちろん個人個人で考え方は違うと思うが、そんな自分にはレンタル暗室や 自宅から離れた

場所で他の方と暗室を共有する事など考えられない。

 少なくとも時間に追われて作業していては良いものは出来ないと思う。

(自分も薄明が迫って来て 無理にプリントした時は 結局良いものが出来ない事が殆どだ)

 実際 これまでの経験で云うと自分にとって良い物が出来たと思った時ほど ハイになって

いるので そんな状態で長時間に渡ってプリントを量産しても 改めて後日 明室でプリントを

見返すと 後から色々アラが見えて来て ガッカリする事が多い。


 話が逸れてしまった。ペーパー現像液の話だった…

 

 現在愛用している ILFORD SILVERCHROME は10年程前迄 頻繁に使っていたKODAKの

Polymax Tと同等もしくはそれ以上に希釈した作業液自体の寿命が長い様な気がする。

 毎夜ごと一月近く チョボチョボと騙し騙し同じ液を使用して ここぞというカットの時は 

取り敢えず能力が落ちていて軟調になってもプリントしておいて それを基に新液で

シャッキリしたプリントを作り直すようにしている。

 


濃縮液の希釈から約一月 この写真ではうまく写っていないがこの様な

寿命を迎えた液を入れたトレイの底にはオリの様なものが澱んでいる。

















 さすがに この様な劣化し過ぎた現像液で得たこの日のプリントは 黒の締まりが悪かった。

 今迄 上の写真の左上隅に僅かに写っている100円ショップで購入したポリ容器で現像液を保管していたのだが、中外薬品の頃から形の変わらないSILVERCHROME現像液が入っていた空き容器に方が中身の保存状態が良いようだ。

 こういった廃液は処分にも手間が掛かるので なかなか纏まらないと捨てられない自分。この様な状態の液でも 軟調に焼いたり ベタを焼いたりするには十分だったりするのだ。







2023年6月21日水曜日

ネガの裁断

 いつも通りにフィルムの現像


最近は Silversaltさんで購入した ADOXのFX-39Ⅱで現像しています。














この後 定着⇒水洗⇒吊るし干しを経て フィルムを裁断するのですが…



今回のは 知り合いの現場監督さんにいただいた現場監督で撮影したフィルムです















 自分のいただいた現場監督で撮った写真は オートローディングの歯車の関係からか
必ずパーフォレーションの穴の処が裁断位置になってしまいます。

 Leica M3ではこの位置が 必ずパーフォレーションの穴を避けた処になるように
なっています。ですので これが結構ストレスに感じます。

 どちらにしても これは自分独自の流儀ですが、裁断した端部の角に隅切りを施すように
しています。


135の36枚撮りのネガは6尺以上になるので 裁断するとき誤って床に
落とさないように 両端を吊るす様に心掛けています。






















 裁断する位置は ネガの両端のどちらかになりますが この両端はFocomat Ⅰcに
セットしづらいので ネガの内容を一通り把握して なるべく重要なカットが両端に
来ないように調整します。(もちろん 思い通りにならない事もあります)

 ですので 端から順に… ではなく 真ん中辺りから いきなり裁断していく事もあるのです。
 

裁断してネガスリーブに収めている中途の状態















 そんなこんなで 自分の場合 最初の方のコマは一番最後に スリーブに収められる事が
多いです。